アーティスト・イン・レジデンス♯1 南 敦子

August 20th, 2012 | Tags: , ,

展覧会 “Now on the same star”

オープニング: 2012年8月10日(19時)

会期: 2012年8月10日から12日

Das Japanische Haus e.V.
Chausseehaus (Delitzscher Str.3), 04105 Leipzig

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a.MINAMI プロフィール
1977年 千葉県生まれ
2006年 多摩美術大学版画専攻卒業
HP:http://atsukominami.carbonmade.com/

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今回初めて海外で個展が出来て、良い経験が出来ました。
もっとお客さんが来てほしかったというのはしょうがない事実でしたが、
日本を離れた普段とは違った環境で作品を作れたという事実こそが、
この後の私の制作において、かけがえのない財産となるでしょう。
また、ライプツィヒ-日本の家-を中心に関わって下さった方々との交流は、
今後の人生においての視野を広げるきっかけになればいいなと思います。
ありがとうございました。

(Leipzig, August 2012: a.MINAMI)

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南 敦子インタビュー (2012年7月4日)
聞き手:ミンクス典子

レジデンス滞在に応募した理由は?

ドイツが好きで海外での制作と生活をしてみたいと思っていました。日本の生活とは違う環境で制作をして新しいことをしてみたいと考えていました。というのも版画のプレス機が移動が出来ないこともあり現在の制作スタイルに滞りを感じていて、それをなくしても制作が出来るかどうか試してみようと思っています。版画にこだわらない制作が出来たらとも考えています。

ドイツは以前旅行でカッセルなど訪れたことがあって、惹かれていました。人や街も落ち着いている印象があります。訪れたことがあって知っている場所なので、滞在もイメージが湧きました。アジアだったら応募していなかったと思います。

a.MINAMI-1

ライプツィヒの印象は?

こじんまりと落ち着いていて、ベルリンやフランクフルトに比べると地方都市のように感じます。ベルリンは廃墟を改造した新しい建物などが見られますが、ライプツィヒでは近代的な建物がなくて古都の印象があります。手の届く範囲でまた目の行き届く範囲の生活が出来そうです。

今回の滞在で期待していることは?

今までと違う作品制作を違う形で表現したいと思っています。ライプツィヒ現地の知合いが出来たら嬉しいです。海外へ生活を移したいという希望もあるのですが、実際の生活や仕事のことを考えると現実的ではないのかも知れません。今回のレジデンス滞在期間(2ヶ月間)が短いので作品の完成までいかないかも知れないが、新しい作品を制作できて日本に帰ってからの次のステップへと変化出来るのかも知れないと思っていて、ぜひ活動を広げたいです。現在の日本の制作環境に閉塞感があります。日本での制作環境のフットワークが重くなっているので、それを変えるきっかけとなるのではと期待しています。

環境が作品を限定するわけでもないですが、環境によって作品へ影響があるのではないかと思っています。どこの分野(求められるターゲット層)で活躍したいか、そこへ近づくにはどうしたら良いのか自問しています。コンスタントに作品を求められる作家になりたいと思っています。

経歴として高校を卒業して美大へ直接行くのではなく、一度社会経験をしてから美大へ入ったので、冷めた視線があります。静かに日々制作していける環境があれば満足です。プロのアーティストではないかも知れませんが、作りたいという気持ちと姿勢でやっていきたいと思っています。流行に合わせて作品の傾向を真似して制作するのはやりたくありません。

a.MINAMI-2

ご自身の作品について

コンセプト中心の現代アートは嫌いで、物語の1頁になるような作品をつくっています。見る人に物語を読ませるつもりではなく、受け手に余韻を残しておきたいと思っています。説明的なタイトルは意識的に避けていて、絵を見る時にきっかけとなるようなタイトルをつけています。

メッセージが受取る人によっては弱くて分かりにくい部分があるかも知れませんが、日常生活の延長線上を意識した空想を心象風景として描いています。どこでも見たことはないが、違和感はない絵だと思います。悪く言うと牧歌的な泥臭い絵になってしまうので、現代の無機質な部分も入れるように意識しています。

普通リトグラフというと石版画といって石に描いて刷ったり、現代だと代用品で表面を研磨したアルミのシートに描いて刷ったりしますが、私が大学で習った技法はベニア板を使います。木で水分が染み込みやすいので、使用前ににかわとミョウバンやカゼインなどを使い木地の目留め処置をしてから使います。その後はほぼリトグラフと同じで、更に木版画のように彫刻刀で彫る事も可能ですし、水彩絵の具で1版多色摺り(浮世絵のように)をする事も可能です。木目のマチエールも出そうと思えば出せるし、かなり面白い版画技法です。

それを私はずっと大学時代から使用しています。版画は一種職人のような決まった順をおっていかないと出来あがらない工程があり、それが客観的に作品制作できる要素にもなっていますが、技法を自分のものにする時間も結構かかりました。今回のライプツィヒでの滞在ではこの技法が出来ない環境なので、今までの自分の得意な分野の経験をどう生かすかに結構な不安と期待を感じています。今まで培ってきた技法や経験、表現方法を生かしつつ、何か次の新たな世界も見出したいと思っています。

最後にライプツィヒのリトグラフ工房で木版リトグラフの技法を伝えたら、どのような反応をされるのかにも興味があります。



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