メンバー:坂元はるひ、関谷朋子、脇本 菜津美 、上野 茅、小貫友里、矢作岳
地域の芸術祭「芸術の夜」において、「日本の家」の前面空間に日本のお祭り空間をテーマとした空間づくりを行った。日本からゴムの金魚や駄菓子などのグッズを持ち寄る一方、フリーマーケットで手に入れたドイツのお祭りで用いる提灯を吊るしたり、空き家から拾ってきた三角錐状の構造体に着物の歯切れを組み合わせて照明にしたり、セカンドハンドショップで入手した木材を構造体に用いたりと、地元で手に入る素材を工夫して組み合わせ、独自のお祭り空間を作り上げた。当日は、金魚すくい、射的、かき氷、ヨーヨー釣りなど、縁日に馴染み深い出店が並び、夜まで大変賑わった。また縁日空間の隣には、糸電話による参加型インスタレーション「もしもしの森」が設置され、大人から子どもまで楽しんでいた。
縁日 ―日本のお祭り
- photo : mako mizobichi
『縁日』とは、観音さまの日はこの日、水天宮はこの日、といった風に、数ある日本の神仏の中の特定の神様、仏様が特別に現世に出現する日のことを意味していました。その神仏に信仰のあるものが参拝すれば必ず功徳を生ずるとされたため、その日には参拝客が多く寺社を訪れ、彼らを対象とした多くの露店が参道に並ぶようになりました。参拝の慣習が薄れた現在は、その露店が多く並ぶ様子を指して『縁日』と呼んでいます。今回はNacht der Kunstのスタート地点である日本の家の前の通りに、にぎやかな日本の縁日が出現しました。着物と布で作られたのれんのはためく下では、金魚すくいやヨーヨー吊り、射的などの日本の遊びが楽しめます。ドイツの子供用ちょうちんや着物でできた行灯がたくさん並ぶ通りはとても幻想的です。(脇本菜津美)
空間班では実際にお店をするということで、なんだか学園祭の準備のようにウキウキしてしまいました。 お祭り当日、結構早い時間から人が集まりだして夜には日本のお祭りのように賑わいだして。。みんなで作った屋台にドイツや日本の子どもたちが一緒になて楽しんでくれて本当に嬉しかったです。お祭りって人と人の距離が近くなるから知らない人同士でも気軽にコミュニケートできる、そこがすごく良いなあと思いました。(坂元はるひ)
もしもしの森
作品自体を「声を伝えるツール」にし、そのような空間や体験を、芸術祭に訪れた人と共有したいと思いました。「糸電話」は、声の振動をそのまま伝えられること、日本では、誰もが一度は遊んだことのある、懐かしさや親しみのあるものであることから選びました。糸電話を通して、「hello!」、「guten morgen!」、「もしもーし」など、様々な国の言語の挨拶が聞こえてくるのが、とても新鮮で面白かったです。この作品を通して、偶然通りかかった人同士が会話をしている光景や、親子や友達同士が楽しそうに会話している光景をその場に造り出すことができてよかったです。(関谷朋子)
芸術祭が始まってみると、最初は使い方がわからないかった人たちも、教えてあげて、理解すると、思っている以上に楽しんで遊んでくれました。特に、ご老人が友達同士で、子供に帰ったかのようにはしゃぎながら使ってくれたのは印象に残っています。その他にも、家族、若い子たち、子供同士、、、ドイツの小学校でもこういうのを作ってみたいといってくださった方もいました。違う文化の人たちに私たちの作ったものでちょっとした楽しさを提供できたことに、なんだか達成感を感じました。このインスタレーションはお金もかからないし、ちょっとしたことですが、それでも小さな発見や非日常を提供すること、単純に楽しんでもらうことはできるんだとを改めて実感しました。とにかく、やってよかったです!(小貫友里)