岩手県盛岡市に本拠地をおいて活動している「ボタン部」(代表:Kusakaさん)から作品をご提供頂きました。
「ボタン部」はその名の通りボタンづくりをはじめ、アクセサリーや小物を手作りしている、有志のものづくりグループです。
岩手、特に盛岡市は芸術の街です。萬鉄五郎、松本竣介、舟越保武、舟越桂、高村光太郎、文学の分野では宮沢賢治、石川啄木など昔から芸術家を輩出し、街のあちこちにギャラリーがあります。また南部鉄器を代表に、昔から手工業も盛んで、それを土台に芸術の街の雰囲気が培われました。
そのためか、モノ作りが好きな人が多く、またその状況を受け入れる姿勢が街には残っています。例えば作品を展示できるスペース・機会が多くあり、芸術と街が深くつながています。また小さなカフェや食堂も多く、チェーン店よりも地元に根付いた店舗が生き生きしている、今の時代にめずらしい街です。このような街の雰囲気に惹かれ、若い人が地元に帰ったり、残ったりすることが多く、ボタン部の活動と作品も、岩手という土地柄が生んだと言えるでしょう。
しかし、3.11の震災と津波で、岩手県・宮城県を含む東北地方太平洋側海岸沿いの街は一夜にして壊滅的な被害を受けました。ボタン部の代表、Kusakaさんの実家は津波の被害の特に大きかった宮城県石巻市(いしのまきし)にあります。
住み慣れた街の風景が一変した震災後、彼女は「街」というシリーズの作品をつくり始めました。
「街」
“なつかしいひとが暮らしていた街を思って。大切な人が生きていく新しい街を願って。小さな街を作っています。 言葉にするほど、まだ自分が受け止めていないから、街を作っているのかもしれません。” — Kusaka
ボタン部の作品は、現在「日本の家」で展示を行っており、東日本大震災への支援金を頂いた方に贈呈しております。岩手の若き感性が生んだ心のこもった作品群、是非一度御覧ください。
(勝又友子 [岩手大学卒業] ・大谷悠)