ライプツィヒ西部の住宅地の一角に「アナリンデ」という都市ガーデンがある。ここは2011年から5人の若者が「参加可能な都市生活」をキーワードに始めたコミュニティ・ガーデンで、市から空き地だった場所を暫定的に借りている。欧州連合(EU)の助成プログラム „Programm Jugend in Aktion“とミュンヘンのガーデニング助成財団 „anstiftung&ertomis“ から支援を受けながら活動している。
彼らはまずゴミ溜だった空き地をきれいに掃除し、パン屋で使われていた箱やパレットを再利用した移動可能なプランターに、化学肥料未使用で品種改良していない野菜や植物の種を植えている。庭の手入れは運営者である2人のガーデナーが主導し、4月から10月は週に3日一般開放されていて、誰でも自由にガーデン作業に参加できる。廃車を改造したカフェも設置されており、週末には音楽イベントなども開催して沢山の人で賑わっている。2012年からは養鶏や養蜂が始まり、地域の小学生たちが定期的に訪れるプログラムもスタートした。
この都市ガーデンの活動が始まった当初は関心が薄かった近隣の住民たちも、庭作業に参加できることが分かると頻繁に通うようになり、メディアに大きく取り上げられた効果もあって、来場者はどんどん増えている。ここは、ちょっと訪れて佇む公園とは異なり、自ら積極的に作業を体験できる場所として、今ではライプツィヒでも重要な場所になっている。彼らの活動も「アナリンデ」の場所に留まらず、ライプツィヒでのガーデニング主導プロジェクトとして、イベントと連携するなど他の場所でも都市ガーデンの可能性を広げている。
運営者たちは、政治家や市の都市計画課が考える都市のビジョンとは違い、自分たちの手で都市をつくることに主眼を置いている。現代の私たちの生活は、大部分が受け身的な「消費」に偏っていて、自ら生産活動に携わる機会はほとんどない。また、田舎から都市部へ移住する人が増え続け、都市の役割はますます重要になってきている。都市の未来像はこれまでとは異なり、限られた土地や緑を大切にして、消費と生産のバランスを確保していかなければならない。「現在の都市の状態は不健康で、本当に人々にとって必要な様々な観点が欠けている」と代表者のヤコブ・オッティリンガーは言う。彼らは、気候の変化が問題となっている環境の点からも都市の中に緑を増やし、野菜もスーパーマーケットで買うだけでなく、自分で育てて食べるという持続可能な自立した生活が重要になると考え、都市ガーデンを提案して実践している。(Noriko Minkus)
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