会期:
2月27日(土)16:00 – 24:00
3月3日(木)14:00 – 21:00
3月5日(土)16:00 – 24:00
3月6日(日) 15:00 – 18:00
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2011年、大谷氏のあたためる「日本の家」プロジェクトに私が参加することになったのは、その核心をついた理知的なアイディアへの共感と、真っ白なものに色をつけていくような創造への欲求からだった。プロジェクトのコンセプトを練り上げていく段階で、真っ白な紙に色とりどりの水彩イラストを描き、イメージを膨らませた。その構想中に大谷氏が言った言葉を今でもよく覚えている。
「ガキの頃、なあんもない空き地で秘密基地つくったり、近所のやつらと野球したり、そこにあるものと空想だけで遊んだ。」
私も、団地の裏山に基地をつくり、マンホールの蓋を塁に見立ててキックベースをしたり、毎日飽きずに外で遊んでいたことを思い出した。空き地に出れば必ず誰かしら近所の子どもがいて一緒に遊び、鍵っ子でも全然へいっちゃらだった。小さな何もない空間でも、空想を発揮させてくれる自由さがあった。
空き家をリノベーションして様々な人やアイディアが集まる場とする「日本の家」の目的は、まさに、子どもが空き地に集まり自分たちの考えた遊びが展開されていった私たちの幼少期の思い出と重なる。使用の目的がない真っ白な空間が小さな世界だとして、そこに創造力や自由な可能性をもつ大きな空想で世界をつくり上げていくということ。その興奮にも似た期待が私にとって「日本の家」プロジェクトのスタートだった。
今回、当時描いたイメージイラストと現在のイラストを織り交ぜて並べている。モニュメンタルな美術作品の展覧会ではない。これらは小さな紙に描かれた大きな空想であり、また初心を思い起こす私的な試みである。
勝又友子
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勝又友子
1983 東京都生まれ
2002-2006 岩手大学教育学部芸術文化課程造形コース美術修了
2009 渡独
2015 ドレスデン工科大学美術史科バチェラー課程修了
ドレスデン工科大学美術史科修士課程在籍